ⓔコラム7-3-19 Campylobacter jejuni感染症

 この発症機序の主因としてC. jejuni外膜のLPSと運動神経軸索に存在するGM1–ガングリオシドとの分子相同性が指摘され,C. jejuni腸炎後に産生されたIgGがGM1–ガングリオシドに結合すると推定されている.例えば,同外膜のLPSにおけるO抗原が19型を提示する菌株クローンと本症候群との関連性が報告されている1).さらに,同症候群では重症化する傾向があり,後遺症 (歩行困難など) が残ることがある.加えて,呼吸筋麻痺が進行して死亡する例もある.C. jejuni感染症後の合併症として,脳症,ブドウ膜炎,溶血性貧血,ヒト白血球抗原 (human leukocyte antigen: HLA)–B27を保有する患者にみられる反応性関節炎などがある.

〔髙橋 孝〕

■文献

  1. Kuroki S, Saida T, et al: Campylobacter jejuni strains from patients with Guillain–Barré syndrome belong mostly to Penner serogroup 19 and containβ–N–acetylglucosamine residues. Ann Neurol, 1993; 33: 243–247.